Lv.1
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今から9年ほど前、私が今のマンションに住み始めたころの話。
近所にこじんまりとした割烹料理屋があった。

お昼の時間帯にはランチとして種類が豊富な海鮮丼が1000円未満で食べれたので、土日にちょくちょく行っていた。
しかしある日突然お店は閉店し、今ではただの月極駐車場になっている。

時は流れてここ2,3年の話、その割烹のランチタイムにバイトで切り盛りしていたおばちゃんと、スーパーでたまに会うようになった。
つまり7年ほどのブランクを空けて会うようになったわけで、最初会ったとき互いに
(あれ・・・どっかで会ったことある・・・)みたいな感じで数秒にらみ合うように目を合わせ、どちらからともなく
(あ・・・あぁどうも・・・)
みたいな感じで軽く会釈した。

それ以降のここ2,3年、スーパーで会うたびに互いに会釈するという感じになっていた。
私は「記憶の伊藤」と自称するだけあって、すぐにおばちゃんの素性を思い出したが、おばちゃんが俺のことを覚えているとは思いにくい。
何人もいた客の中、月に2,3回食べに来た客を7年ぶりに会っても覚えているものだろうか。
仮に覚えてたとして、わざわざ会う度に挨拶するものだろうか。

私のことを誰かと勘違いしているのではないか?と半信半疑なまま、2,3年が経っていた。
何かきっかけがあったわけではないが、ある日ふと話しかけてみた。

伊「こんばんわ。今はまたどこかで料理出してるんですか?」
おばちゃん「えぇ、○○駅の近くの弁当屋で働いとんよ。」
伊「そうなんですか。あそこの割烹が閉店してから結構経ちますけど覚えてくれてたんですか?」
おばちゃん「えぇ、覚えてたよ。」
伊「へぇ よく覚えてくれてましたね。またこんどお弁当買いにいきます。」

と、そんなやりとりをした。

意外なことに、おばちゃんは覚えてくれていた…というただそれだけのオチ。



ただ覚えてくれていた。
ただそれだけで優しい気持ちになれる日もある。
だから私も忘れない。

記憶のおばちゃん。
おばちゃんの記憶。

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