Lv.1
バス釣りにハマりにハマっていた中2の夏。
当時の釣りスポットは主に曽江谷川だったが、草が生い茂るこの釣り場は陸地の足場が限られているため、半ズボンとサンダルでジャブジャブと川の中を移動することが多くなった。
それが飛躍してパンツで泳ぎ始める馬鹿も現れはじめた。

その日は特に熱い日で、魚の反応もイマイチだったため、俺、たかき、りゅっつぁんの三人は集中力をなくし、次第に川で遊ぶことがメインになりつつあった。
やがて、踏み込んだことのない下流の方へ探検してみないかという話になり、持ってきていた釣具一式をまとめて移動にかかろうとしたとき、ショッキングなことに気付いた。

俺の竿(約8000円)が折れている。月の小遣いが5000円だった当時、これがいかに大きな損失だったことか。

しかし普通簡単に折れない竿が目を放した隙に折れていたなんて、誰かが踏んだとしか思えない。
本人は気付いているのかいないのかは知らないが、この二人のうちどちらかがその犯人なのだ。
あえて二人にはそのことを打ち明けず、ジャブジャブと未知の領域を歩きつつ、二人の背中を猜疑心をこめて見つめていた。
もし踏んだことに気付いていたなら、どちらが犯人なのかを二人の様子から観察するつもりだった。

とそこで、川は少し深みのある場所へたどり着いた。
深さは腰ほどまであり、座るとちょうど首までで、流れもゆるやかだった。

「なんか風呂みたいやな。」
「なんか微妙にあったかいことないで?」
「温泉か?」

確かになんとなくだがあったかい気がした。
しばらく温泉気分を味わう三人。

突然、何を思ったかたかきが奇行に出る。

「ヌード風呂!」

そう言いながらいきなり水面に露出した下半身を浮上させてきた。
おもいっきりケツを俺に向けている。この少年に羞恥心はないのか。
肛門から金玉までのハイウェイが眼前に広がる。

(竿を折ったのはこいつだろうか・・・)

そんな思いをまだ抱いていた俺はこの異常な光景をただ無表情で眺めていた。

「ヒャッヒャッヒャッヒャッ!!!」

りゅっつぁんは爆笑していたが、こいつが俺の竿を折っていながらこんなアホなことをしていたとしたらむかつくなぁ・・・。
そう思っていた。

「ヌード風呂!」

しつこく俺に繰り返してくるたかき。俺をどうしても笑わせたいのだろうか。

「・・・・・。ヌード風呂とか言うけど普通風呂はヌードで入るもんなんちゃう?」

冷静につっこんでみた。

「ヒャヒャヒャヒャッ!!!どしたんいとっち。なんかテンション低いなぁ。」

はぁ・・・・・。なんだか全てがどうでもよくなってきた。

「実はな、竿を折ってしまったんよ・・・。」

自分で踏んだということにした。
もうそういうことでいい。


やんちゃ坊主だったたかきは中学で彼女ができてたくらいだから、童貞を捨てるのも早かっただろう。
しかし、たかきのあんな恥部を見た(見せられた)のは、彼のおむつを換えた家族以外では俺が始めてだったはずだ。
それに免じて誰が折ったかは考えないことにした。

ヌード風呂

この日の釣果:たかきの釣ったニゴイ一尾
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コメント
この記事へのコメント
たかきは小学生並みにやんちゃですね、「ヌード風呂」のネーミングセンス(笑)いかにも中学生のひと夏の思い出ぽい感じです。
それにしてもたかきは釣りもできるわ、中学生にして彼女がいるやらでプラスにもマイナスにもベクトルが広がってるんですね。

ヌード風呂がなかったらなんか小説ぽく読めますね。図もわかりやすいっす!
2008/01/27(日) 13:16 | URL | ひづ #-[ 編集]
はい。僕らの地元の中でも最も山奥で育った生粋のやんちゃ坊主です。
この手のエピソードは本人に言うと決まって「そんなことしたっけ?」とか「絶対してない!!!」という反応が返ってきます。

卒論発表で使った図の作り方をこんなことに使うのが情けない。
2008/01/27(日) 17:03 | URL | fds #-[ 編集]
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